ご意見・ご質問箱


 
 

   第56回 「ご意見・ご質問箱」

税理士さんによって異なるのは、どうしてですか?
               (福島県 会社役員、66歳)

  私は、税理士会の税務支援(無料です)を利用して所得税の確定申告に行ってきましたが、税理士さんによって言うことが違いますが、どうしてでしょうか?

 私の所得は、@株式の配当とA監査役の報酬とB公的年金です。
 この内、Bの公的年金(この年間収入は約260万円位です)については、平成15年分と14年分の源泉徴収票を無くしてありません。
 昨日、平成16年分の確定申告を済ませて(平成16年分は公的年金の源泉徴収票があって申告書に添付しました)、今日は平成15年分と14年分の申告に行きました。
 ところが、昨日の税理士さんは、平成15年分と14年分は、Bの公的年金の源泉徴収票が無くてもよいということでしたが、今日の税理士さんは無くては駄目だと言います。

 同じ税理士さんなのに何故、このように話が違うのでしょうか?


 
昨日の税理士が間違っています。

 所得税の確定申告は、当たり前のことですが、その人の、その年分の、(総合課税の)全ての所得を合計して税金の計算をします。
 従って、当然に公的年金の源泉徴収票が要ります。
 これが無いと申告は出来ません。

 平成16年分が公的年金の源泉徴収票が要って(確定申告に添付されましたネ)、他の年分が要らないなんてはずがありません(これは、考えればすぐに分かることです。)
 結論は、昨日の税理士が間違っているのです。
 「税務援助や税務支援において、誤った指導を税理士が行った。」
 このような問題が、各地で表面化しています。
 何故に、このようになるかというと、非常に残念ながら税理士にも色々あるのです。

 税理士となる資格には、@一般試験組A税務署出身組B免除組及びC別資格組があります。
 ここでは、問題になっている所得税について説明します。

 @一般試験組の場合は、この所得税の試験に合格している人と、そうでない人がおり、この中には、実務に携わっていた人と、そうでない人がおります。  A税務署出身組の場合は、特別試験という比較的やさしい試験を受けて税理士になれます。高校一年生レベルの簡単な試験だとも言われています。
 この中にも、実務で所得税に携わっていた人と、そうでない人がおります。
 B免除組の場合は、一部科目又は全部科目の試験を免除されており、この免除された科目については試験を受けていません。
 この免除組の中にも、実務に携わっていた人と、そうでない人がおります。
 C別資格組の場合は、弁護士又は公認会計士の資格を持った人は、税理士になれます。
 このうちの公認会計士の場合には、会計科目は別にして、税法科目は税理士試験よりもボリュームが少なく、弁護士の場合には、会計学も税法も、この試験の中にはありません。
 私の知っている範囲では、弁護士さんで会計学並びに税法に精通している方にお目に掛かったことはありません。

 このように同じ税理士でも、受験科目や実務経歴等が全く異なるのです。
 お医者さんは、専門の診療科目を掲げて開業並びに診察をしています。
 又、弁護士等の司法に携わる人でも、それぞれ得意分野が異なるのです。
 従って、税理士も、全ての税法に精通している税理士もいれば、殆どがあまり分かっていない税理士もいるのです。(残念ですが・・・)

 税理士の方からお叱りを受けるかも知れませんが、これが事実なのです。
 私は、国民から信頼される税理士制度にするためには、一般試験だけにすべきだと思います。
 又、試験合格組や税務署出身組、免除組又は別資格組の区分と、一般試験等で合格した税目や実務で携わった税目等を、納税者の皆様等に公表すべきなのかも知れません。

 そうすれば、納税者の方々もそれを見て、税理士を選べるようになります。
 つまり、そうすれば、このご質問のようなことは、きっと少なくなることだと思います。
 納税者の方の為にも、そうすべきなのかも知れませんし、もう、そういう時代に入っているのかも知れません。このことは今後の課題だと思います。
 只、最後に一言。例え、所得税の試験を受けていなくても、又、合格していなくても、更には、所得税の実務に全く携わったことがなくても、実際に税理士になってからの勉強で、所得税法に精通しておられる税理士さんもおられるので、このことを一言申し添えておきます。