ご意見・ご質問箱


   
   第3回 「ご意見・ご質問箱」

 
一生懸命企業努力しているのに、業績が悪化するが?(千葉県、53才男性)
私は創業30年の中小企業経営者です。朝早くから夜遅くまで、一生懸命頑張っているのに、業績は急激に悪化(特に最近)しています。
 放漫経営ならいざ知らず、一生懸命に努力して、駄目になっていくのは非常に残念です。
 多くの経営書を勉強しましたが、何故駄目になるのか分かりません。是非とも適切なアドバイスをお願い致します。
 
 
「間違った努力」をしていませんか?
(龍馬社長大学学長、奴田原惇郎)  

 私の約20年間の経営指導経験で最も感じることは、経営者が一生懸命に努力して会社を衰退・倒産させた事例が非常に多いということです。
 放漫経営等で駄目になるのは当たり前ですが、一生懸命に努力して駄目になるのは何故でしょう?答えは簡単。それは努力する場所や仕方を間違えているからです。

 殆どの書物等に「企業の発展=人・モノ・金のバランス保有+情報」と書いてあります。しかし、この算式通りに実践して企業は発展するでしょうか?
 答えは「NO」です。

 蚊帳を例にとってみます。優秀な社員を使って、世界最高水準の技術と、豊富な資金力によって最高品質の蚊帳を製造し、世界でもトップの販売力によって安価にて販売したとします。果たして売れるでしょうか?
答えは「NO」です。
 全く売れないでしょう。少なくとも以前は売れたのに、現在は何故売れないのでしょう?
何かが変わったのです。それは日本人のライフスタイルの変化(環境の変化)によるものです。

 つまり、現在は網戸があり、エアコンが各家庭に普及し、夏でも窓を閉めて寝ます。
さらには便利な蚊取り器等も販売されており、蚊帳のような面倒なものは必要でなくなり、それ自体を全く知らない世代へと移り変っているのです。
ここにヒントがあります。つまり企業はこの「環境変化に適応する」ことが最も大切だということです。
不倒神話があった銀行は何故倒産したのでしょう?
担保に取っていた土地価格の下落という環境の変化によるものです。

 ここで大事なことは、銀行は「人・モノ・金」は何一つ変わっていないのに倒産したということです。「人・モノ・金」は確かに大切なものです。しかし企業は、環境変化に左右されて浮沈します。環境変化によって発展又は倒産します。

つまり経営者にとって最も重要な任務(役割)は「適切な環境適応戦略」です。

つまり経営者は、自社を取り巻く将来の環境変化を洞察して、この変化に自社を適応させることが、最も重要な仕事なのです。

今後、この経営環境は激変します。と言うことは「正にチャンス」です。

 貴方に、お聞きします。「環境適応戦略」を策定・実践していますか?ご自分の努力が間違っていないかを、今一度見直して下さい。